2009年06月14日

普通の生活

ルネ・マグリットが好きです。
ぱっと見たら明るいしきれいだし、
なんだか看板絵みたいでとっつきやすいのですが、
その実、結構コワイ絵を描く人です。

昔、若桑みどりさんが指摘していましたが、
マグリットはものすごく空虚な絵を描く人です。
絵描きにしては珍しく、
マグリットはごく普通の人生を歩んだ人です。
奥さんと一緒に、静かに地味に、一市民として暮らしました。
しかし、それは
ぎりぎり精一杯頑張って保っているような
「普通の生活」でもあったようです。

マグリットが13歳の時、母親の自殺という事件がありました。
今まで普通だった生活が、突如母の死で崩れ去る、
そんな緊張感をマグリットは持っていました。
でも、それは特殊なことではなく、
私たちにも常に起こりうる話です。
たった今、この瞬間、ここは普通であるけれど、
次の瞬間にはどうなるか分からない。
明るく楽しく方便を使って生きているけれど、
そんなのはいつ壊れたっておかしくない。

そう考えると、
マグリットって本当にシュルレアリスト(超現実主義)です。
シュルレアル(超現実)は決して悪夢のような別世界ではなく、
今・ここに見える世界のふとした驚き、みたいなものですから。


最近つくづく、普通の生活って大変だなあと思う。
やけになったり、諦めたり、
馬鹿みたいに振る舞うのは簡単だものね。

毎日会社に行って、
ご飯作って、
ときどき掃除洗濯をして、
早寝早起き、できればジョギングのひとつもして、
たまには友だちと会い、
上司の食事に付き合い、
月曜日の朝はいつも憂鬱で眠たい、
……そんな普通の生活。
でも、がんばって頑張って、そんな普通の生活を保たなければ。

090614_magritte.jpg

【元ネタ:ルネ・マグリット「現実感覚」1963油彩、カンバス】
てきとうに鉛筆で描いてみた。
黄昏時に中空にポッカリと浮かぶ月と岩。
なんだか懐かしい気になるのが不思議。
posted by ヤブネコ at 17:25| 東京 晴れ| Comment(2) | 美術、デザイン、お仕事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする