2006年09月13日

隣りの女

向田邦子/文春文庫(1984)
★★★★★★☆

向田邦子読むの久しぶりです。
『思い出トランプ』と『父の詫び状』しか読んだことなかったけど。
この人の文章は臭いとか重みとか汗とか、
そういう…けっこう人間臭いしがらみを常々感じます。
なんというか肉感的。
地に足をつけた人間である一方、
逆に言えばそこから飛び立てない人間の姿、みたいなさ。

全体を通して感じたのが、
Life gose on.
映画『21g』のキーだった言葉ですが、
この本もそうかなあ…って気がしました。
作中で物事がそりゃもう色々あるのですが、
でもそれと平行して日常がただただ続いていく感じ。
我が事であれ他人事であれ人生は続いていく。

あとはあれだな…業というか何というか。
女…こわい。
いや男もだから、ええと、人間こわい…。
好きだけど嫌い。
好きだけど疎ましい。
憎いけど好き。
そーいう業。
そういうのからは逃げられない息苦しさ。
重苦しくて暑苦しくて息が詰まる。
でもこういう作品がまた嫌いじゃないから困る。

いちばん好きなのは「胡桃の部屋」かな?
桃子にとっては悲劇的だけど、
すっごい腹立つんだけど、
もう笑ってしまうしかないというか。
「幸福」で素子と八木沢が喋るシーンも好きです。
精一杯笑ってみせた、ってとこ。
「下駄」は普通かな。
「春が来た」も哀しくもおかしい。
風見がなー。最後の場面でやたらサッパリしちゃって。
あーそうだよそうなんだよ、と思う。
「隣りの女」…エロい。そーか桃井かおりか…。
ニューヨークってのはちょっと時代がかってて、
何だかなーという気がしないでもないけど。
サチ子の色恋よりも峰子の独白の方が切ない。
悪い人にもなりきれない峰子が好きだな。
旦那に金のことは言わないのよー、何てシンドイ人なんだ。
見てて苦しい。
でもまあ、峰子もたくましく生きてくんだろうけどさ。

全体的にいい作品ぞろいでした。
また何か読もうっとー。
posted by ヤブネコ at 11:34| 東京 ?J| Comment(1) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする